「人生の正午」。40代を乗り越えて、後半の人生を自分らしく生きる

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「あぁ。自分の人生は後半に入ったんだな。」

先週末、たまたま訪れた市ヶ谷橋から西へ傾く太陽を眺めた時、私は自分の人生が折り返し地点を過ぎたことを認識しました。

キャリアコンサルタント資格者として、今日は私の最も好きな理論をご紹介したいと思います。

目次

40代は「人生の正午」。価値観が大きく揺らぐ

「人生の正午」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 有名な心理学者、カール・ユング(以下ユング)の言葉です。

ユングは、太陽の一日の動きにたとえて、人の一生を前半と後半に分けました(本来は4段階に分けて少年期、成人期、中年期、老年期の4段階に分けていますが、ここでは前半・後半としています)。

そして、人生の中間地点である40歳前後を「人生の正午」と呼んだのです。

その正午である40代を、ユングは「最大の危機」としてとらえています。

中年の危機(ミッドライフ・クライシスと呼ばれるものです。

40代は、会社や家庭において、求められる役割が変わりつつある時期。それまでの前半の人生で築いてきた価値観が、大きく揺らぎます。

40代で感じる内的・外的な変化

40代は、心身の衰え、将来への不安、キャリアの停滞感など、いろいろな変化(衰え)が一気にやってくる時期ですよね。

私自身も40代になってみて、メチャクチャしんどいなって感じます。

まず、見た目の衰えです。

先日1年半ぶりに会った友人からは、「あれ、白髪増えたんじゃない?」と言われました。

えっ! 鏡では変わってないと思ってたのに…

身体機能の変化(衰え)もあります。

30代は1日寝ないで仕事に行ってもなんとかなっていましたが、40代以降はもう無理です。1日の仕事が終わると、ドッと疲れを感じるように…。なので、最近では筋トレをしています。

健康診断も、毎年「。数値の悪い項目が1つか2つあります。

知力の変化(衰え)も、認めなければなりませんね…。

仕事でも、自分の記憶に頼れなくなりました。最近同僚から、「あの…はぶさん。お願いしていた仕事まだですか?」 なんて情けない催促を受けることもありました。

ダメですね…。その対策として、今までよりしっかりメモを取るようになりましたが。

会社のキャリアにおいても、良くも悪くも先が見えてくるのがこの時期です。この辺りのポスト(役職)が自分の限界なんだろうな、と見当がつく頃でしょう。課長にもなれないかもしれません。

仕事を教えた後輩が、自分の上司になるなんてケースもあるでしょう。私が入社した頃はまだ笑い話で済んでいましたが、今日の日本社会では当然に起こり得る話です。

社会的な役割だけではなく、家庭内の役割にも変化が生じます。

子どもの進学時期へのケア、思春期に直面するなど、親としての役割がより強く意識される年代といえます。

後半の人生で「個性化」を実現するために

では、40代は「辛いことに耐えるだけの時期」なのでしょうか? 
いえ。しっかり内省をして、後半の人生のための準備をする時期です。

ユングの主張に「個性化」というものがあります。

多くの人は、前半の人生の中で、様々な節目を乗り越えてきたことでしょう。学業、部活、恋愛、就職、結婚・・・様々なライフイベントがあったと思います。

次々とやってくる課題。乗り越えることは容易ではなかったはずです。実現できたこと、挫折したこともあったのではないでしょうか。

一方で、その過程で見過ごしてしまったもの、本当はやってみたかったことなどはなかったでしょうか?

前半の人生でやり残したこと、心の隅に追いやっていたこと。ユングはそれらを「シャドウ(影)」と呼びました。

そしてそのシャドウを上手に統合することこそが「個性化であり、後半の人生の最大の課題だととらえたのです。

たとえば、私は結婚して子どもがいます。それなりに幸せに暮らしています。

でも・・・でも、です。こんなふうに考えたことはないでしょうか。

もし、結婚していなかったら…? 

当然ながら、「家族を持つ」というかけがえのない経験を得られなかったでしょう。
子どもの出産に立ち会うことも、家族で旅行に行くこともなかったはずです。

でもその代わりに、自分の時間や自分のお金をもっと自由に使えたかもしれません。

上司とそりが合わないから今月で会社を辞めようという選択すらできたかもしれません。

正直にいいますと、

1人で、もっと気ままな人生を生きてみたかった

そんな思いが頭をよぎることがあります。もちろんその想いは、叶うはずもありません。

しかし、そんなどうしようもない思い(シャドウ)を完全に否定することもまた、できないのです。

シャドウを上手に統合もしくは折り合いをつけて後半の人生に向けて移行(トランジション)する。それがこの時期の40代の最大の課題です。

だからこそ、40歳前後は後半の人生に向けた極めて重要な過渡期なのです。

後半の人生を自分自身として生きるための「ノート術」

体力や知力が衰え、会社や家庭での役割も変わる40代ーー。本当に辛いですよね。私も逃げたくなります。

ていうか、毎日逃げたいってのが本音です。

そんな時、いまの私には何があるのだろうかと考えます。自分には何もないと絶望的な気持ちになることがほとんどです。私はこの1年間、本当にそんな想いで過ごしてきました。

でも、ある時気づくのです。後半の人生に差し掛かった私たちには、蓄えてきた知識と経験があります。

何もないわけがないのです。

しっかりと自分と向き合い、この時期に「形にしておく」、「棚卸をしておく」ことが大事だと考えています。

そのために、私はノートを使いました。

やり方は難しくありません。毎朝毎晩、20~30分だけ静かな時間を確保して、ノートに向き合うのです(以下ノート術といいます)。

1つテーマを決めて、頭に浮かんだことを書きまくる。同じテーマを何度やったっていい。

ちなみに私がよくやったノート術のテーマは、「自分の強み」でした。

どんなテーマでもいい。支離滅裂でもいい。良いも悪いもない。自分には何もないじゃないか! と悔し涙したっていい。

私はそのノート術で気づきました。前半の人生で私は「自分以外の誰かになりたかった」のだと。

私は小さなころから内向型人間で、人前に立つのも苦手でした。友だちもうまく作れず、いつも一人。

そんなコンプレックスを克服したいと願い、なんとか人並みになろうともがいていたのが前半の人生でした。

でも、私の中の「シャドウ」が求めていたことは、そんなことではありませんでした。

それは、自分自身になること。

他の誰かのコピーではない、純正品としての自分になること。

内省にあたって参考にした本は、安田修さんの「自分を変えるノート術」です。この本は自分を深く知るためにかなり役に立ったので、日を改めて具体的な方法を書いていきたいと思います。

「ノート合宿」という概念も面白いですよ。

内向的な人にとっては、内省する力は間違いなく強みです。自分という人間を知るために、高額なセミナーは必要ありません。だって、答えは自分の内側にあるのですから。

内向型の力は「シャドウ」を取り込み、「個性化」を実現するための手助けになります。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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