あぁ、「お金を使う力」が足りないっていうのは、こういうことなんだな、と身に染みて知った出来事がありました。
娘が不調を来したのです。家族も目に見えてギスギス…。
なぜそんなことになったかーー?
いろいろ考えた結果、9割がたの原因は、私が金をケチったせいだと結論付けました。
こういうと嫌な言い方になると思いますが、そこそこお金は貯まりました。
平日のお昼はランチに出ずに、妻が作ってくれたサラダと自分で握ったおにぎりを食べる。ペットボトル飲料なんて絶対買いません。GWには自家用車も売っぱらいました。
そうすると、お金は貯まります。だって、使わないですから。
でも、足りないのは「使う力」でした。
お金って、使わないと淀むのです。
異変
あれ? なんか最近おかしいな。そう異変に気付いたのは、最近のことでした。
たとえば、こんな出来事がありました。
- 長女が学習塾を辞めた
- 長女が部活に行かなくなった
- 長女が中学校をさぼりがちになった
- 妻がやたらと口うるさくなった
- 次女が何かを買おうとする時、「これ高いね」と値段ばかり気にするようになった
倹約して、頑張ってお金を貯めて、「億り人」になる!
お金が貯まったら世界一周しよう!
そのためには外食を控え、車を売り、週末も鶏むね肉をつかった廉価なご飯を作る!
そんな生活をしていた矢先の異変でした。
そんなの誰も望んでいない
私が家族に無理強いをしていたのです。倹約という美しい名目の下で、家族を縛っていた。
誰も望んでいないのに…。
りべ大やらの動画を浴びるように見て、絶対無駄遣いしないぞ! のマインド形成をした私に、妻は追いついてこられるはずもありません。どんどんケチ化していく旦那に、何が起こったのかとオロオロするばかりです。
旅行に行ってもお金の話。そんな人間と一緒にいて面白いわけがありません。
そういう縛りが少しずつ形を変えて、妻を苛立たせ、子どもを抑圧していった――。反省しかないです。
お金はバランスが大事
何事にも、バランスは必要です。貯めているばかりではダメなんだと悟りました。
私は、クリスマスキャロルのスクルージになっていた。がめつくお金を貯めて誰にも渡さない姿は、毎晩株式の資産管理画面を眺めて眠る私と、ピッタリ重なるものがありました。
そうすると、やはり淀むのです。家の中、家族の心の中、人との関係、自分自身…。
上司に言われてハッ! としたこと
私は今の上司(50代半ば)が苦手です。
でも、娘の状況を話した時、ハッ! とすることを言われました。
実はさ、おれの姉貴も引きこもりなんだよ。しかも40年間も。
おれの親父は昭和人間で、子育てなんて全くしない人だった。そのせいだね。
え…〇〇さんてお姉さんいたんですね。
それは、大変でしたね…。
あぁ。小橋の家もさ、共働きだろ。さらにおまえ、自己啓発だか知らんけど、週末結構家にいないっていうじゃん。
もっと娘さんの近くにいてやれよ。自然の中に連れて行くとかさ。
いま中学生だっけ? これが(元に戻る)最後のチャンスかもしれないよ。
…。
おっしゃる通りかと思います。
珍しくいいことを言うもんだと思いました。
私は、自分の能力のなさから、いつか仕事をクビになり、家族が路頭に迷うという不安に苛まれていました。
だから資産形成を早めに済ませ、仕事を辞めても当面は大丈夫な状態にしたかった。でも、それが家族を苦しめていたのです。
もちろん、長女が学校に行かなくなったのは、それだけではないと思います。
中2病なんていうくらいですし、思春期真っただ中の悩みもあるでしょう。性への目覚め、友人との関係、自分は何者なのかーー。
しかし、私が上司に指摘を受けて、ハッ! としたところに、たぶん真実があったのです。
もうこれでいい、十分だ
私、思いました。いっちょパーッと使ってやろうと。
そして、唐突かもしれませんが、旅行に行くことを思いついたのです。旅先で、家族で散財してやる…。
いままで貯めた分を家族に還元して。そしたら、淀んで、溜まっていた負のエネルギーが戻るかもしれない。
家族を犠牲にして、娘の人生を犠牲にして、そこで自分が得たFIREに何の価値がある?
そう思い、家族のために、自分の中で眠っていた「使う力」を発散することにしました。
もうこれでいい。十分だ。別にクビになったって、怖いものはない。
ちょっとやけくそ気味に、そう思ったのです。
さて、私は、旅先で娘の笑顔に出会えるでしょうか。
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