私は昨年から中古戸建に参入した。理由は単純明快。
自分でコントロールできない株式取引に依存している自分がいやだったから。
やれアメリカ大統領だの、やれ日銀だの、私の資産は大きな力に左右され、激しくボラタイル(増減)する。
そんなこんなで、全資産の7割を突っ込んでいた株式比率を落とし、少しずつ現物資産の不動産に振り向けることにした。
本当に客が付くのか? 不安を感じながらも、先週末に2棟目の売買契約書を交わした。
さて、今回私が購入した2棟目は、首都圏S市のなかなか良い立地に建つ木造戸建だ。
しかし、築年数は40数年(私よりも先輩だ)。売出価格は、1,200万円。
最初に内見に行ったのは1月末。そこから1ヵ月強、数度の内覧をしたり、不動産業者の人とやり取りをした。
結果、買えた。安堵。
理由は簡単だ。自分が1番「良い」条件を出したからだ。
じゃあ、「良い」条件ってなんだろう。そもそも誰にとって? そのために何をしたらいいのだろう?
そこに至るプロセスを振り返り、整理した。
僭越ながら、自分は3つの点において、ライバルの投資家たちよりも秀でていたのだと考えている。
(買付証明書を出していた人たちは、みな不動産投資家だったそうだ。不動産屋さん談)
①有用な情報を多く取った
まずは、有用な情報をしっかり取ったこと。
この物件の背景は、以下のようなものだった。
- 所有者は高齢のお父様。施設入居中。頭はしっかりされている。本物件の意思決定者
- お母さまは他界された
- ご長男が代理人として、売却活動を担っている
- お父様は家に愛着があり、できれば誰かに住んで使ってもらいたい
- ご長男は、壊して土地売りしてもよいと考えている
ここで大事なのは、お父様が意思決定者であること。
不動産業者とやり取りするのは、隣の市に暮らすご長男であること。
このような情報を、不動産業者さんとの会話の中で取っていく。
「相手」がどのような立場にいる人なのかを知るのだ。
②「意思決定者に向けて」手紙を書いた
購入したい不動産がある時、投資家(買主)は「お手紙作戦」をよく使うという。私もそうだ。
簡単にいえば、売主様に対して「大事にしますから安く売ってください」という趣旨の手紙を書くのだ。
今回も手紙を書いた。工夫したことはそんなにない。心を込めて、ウソなく、丁寧に書いた。
大事だと思ったのは、次のこと。
- 意思決定者は誰なのか?
- お父様。だから、メイン・メッセージはあくまでもお父様向け
- お父様。だから、メイン・メッセージはあくまでもお父様向け
- 次に大事なのは誰か?
- 一方でご長男も無視できない。伝達役だが、そこで止まったらお父様に届けてくれない
- だから、ご長男にも「こいつならいいじゃん」と思っていただく内容にする
- 相手はどんなことをしてほしいのか? もしくはしてほしくないのか?
- 相手の希望を踏まえて、この人なら! と思わせる提案をする
- 前述のとおり、お父様は家に愛着がある。家を大事にしてくれる人に売りたい
だから、こんな文面にした。
先日、2度にわたり貴物件を内覧させていただきましたはぶと申します。
率直な印象として、築〇〇年の歴史を感じさせないほど、きれいな物件だと感じました。
木のぬくもりが優しく、また室内や庭も丁寧に維持・管理されており、ご家族の皆さまが大切に住まわれていたことが伝わってきました。
私は会社員として勤務するかたわら、「古家再生」という活動に取り組んでおります。
ありていにいえば不動産投資なのですが、以下の点において、ただ「買って・貸す」という通常の不動産投資とは異なります。
- 地域の空家を減らし、地域経済と防犯の向上に資すること
- 50年前後の古家でもリフォームの対象とすること
- 賃借人が使いやすいように、リフォームして付加価値を付けた上で賃貸に出すこと(そのため時に大幅なリフォームも伴います)
先日貴物件を拝見した時、この丁寧に住まわれていた家をリフォームすれば、素晴らしい古家再生を実現することができると考えました。
一方で、リフォームには数百万円かかると見積もっております。そこで、私に貴物件をxxx万円でお譲りいただけないものでしょうか。もしお譲りいただけるようでしたら、しっかりとリフォームし、末永く大切に使わせていただくことをお約束いたします。
不躾なお願いで恐縮ですが、どうかご検討のほど、よろしくお願い申し上げます。
「長く住んだ家。できれば誰かに住んでもらいたい」
そう考えている意思決定者のお父様に、ちょっと響く内容だと思いませんか?
また、ご長男も「へぇ、面白そうじゃん。この手紙、親父に見せるよ」と仰ってくださったそう。
相手に動いてもらうということは、相手を知ること。
相手のしてもらいたいことをして、してもらいたくないことをしない。
相手に敬意を持ち、礼節をわきまえていれば、難しいことではない。
③相手の手間と引き換えに、値段を下げてもらった
実は、物件を購入するにあたり、大きなポイントがあった。
それは、「境界未確定」。セオリーから言うと、買っちゃいけない物件。だって、隣地ともめるから。
平成9年の地積測量図はある。30年近く前に実施されたものだ。
でも、平成17年より前の測量図は、信頼性が不十分だと言われている。
その年に法改正があったからだ。
だから、他の買主たちは「確定測量は、売主の責任と費用負担でやってね」と言っていたそうだ。
つまり、ちゃんと境界を確定してくれたら買ってあげるよ、ということだ。
接道はピッタリ2.0m。確定測量したら2.0m未満となり、再建築不可物件になるかもしれない。
そうなると、売れない、買いたたかれるーー。
そんな恐怖がよぎるのは当然で、他の投資家たちもそこを気にしていたはず。
しかし私は、「確定測量は自分でやります!」という前提で買付証明書を出した。
なぜならば、実際平成9年に実際その土地を測量した測量士さんと繋がり、会話することができたからだ(きっかけは割愛しますが、けっこう偶然や運の要素が強かった)。
測量士さんと電話で話した時、こう仰っていました。
あぁ、〇〇さん宅の物件ね。覚えてます、私やりましたよ、測量。
あの物件買うのですね。うん、まぁ地積測量図があるし、なにより私が現場見てますからね。まず問題ないでしょう。購入後、適当な時期に確定測量を依頼いただければOK。焦る必要はないと思います
これにより私は、自身を持って売買契約に臨むことができたのだ。
販売者である売主様側の視点に立つと、確定測量をやるとは、つまりこういうことだ。
- 確定測量か、面倒くさいなぁ(お金だけじゃなく、時間もかかる)
- 誰に頼めばいいんだよ。測量士なんて話したこともないし
- でも、なるべく早く売りたいんだよなぁ・・・仕事も忙しいし
- 確定測量にかかる費用分は、販売価格から値引いてもいいかな
時は金なり。
そう踏んだ私は、自分が確定測量を引き受けるので、他の投資家よりも50万円ほど低い価格で買い付けを入れた。
その結果、1週間以内に承諾のお返事をいただいたのだ。
手前みそだが、私が購入できたのは、相手の立場に立った結果だと言ってもよいだろう。
まとめ
相手の立場に立つ。これがすべてだと思っています。
よく、コミュニケーションは受け手がすべてと言いますね。
本件においてご長男は意思決定者ではない。
だけど、この方が意思決定者であるお父様に説明しやすい資料を渡す(手紙を書く)。
・相手がしてほしいことを知り、やってほしくないことはやらない。
・相手の時間(=時は金なり!)を削減した分、安値で買う。
・誠実に・誠意を込めて接する。嘘をつかない
仕事でも、不動産でも、なんでも同じなんだ、と思う。
不動産という「人の想い」が詰まった商材ならば、なおさらのこと。
私は、不動産が好きなのだと思う。
丁寧に手入れされた物件を見ると、その物件がもっと好きになる。
なぜならば、物件を見れば、そこに住んでいた人たちがどういう暮らしをして、どういう使い方をしていたかが、だいたい分かるからだ。
良い物件は、清廉な空気をまとっている。
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